気分次第


by tohfucat

地名の中に歴史を見る

 愛知県美浜町と南知多町は、来年3月に合併の予定で、新しい地名は『南セントレア市』と決まった。
 新市の名称について、昨年12月に小学生以上を対象に募ったのだが、約330件の意見が寄せられたその中に『セントレア』はなかったということだ。
 美浜町と南知多町でつくる法定合併協議会の会長をはじめとする26人の投票により『南セントレア市』に決定したという。
 330件の住民の意見を無視して、一部の代表の意見だけで突飛押しもないネーミングに決まったことに、地元では猛反発が起きている。

 そもそも地名には、その土地の情緒や歴史が表れるものではないだろうか。ここ数年、町や市の合併により新たな地名が出現しているが、それによって情緒・歴史が失われているように思えてならない。

 昔より主をうつみのうらなれば 報いをまてや羽柴筑前

 これは織田信孝の辞世として伝わるものだが、赤で表記したうつみとは、内海と討つ身をかけている。内海とは内海野間のことで、ちょうど美浜町と南知多町の境あたりである。
 信孝はかつて父信長の臣下だった羽柴筑前(後の秀吉)に敗れ、野間の大御堂寺に幽閉され、自害した。
 その昔平治の乱で敗れた源義朝が、この地を領していた長田忠到を頼り、歓待するふりをした忠到に討たれたいわくの土地でもあった。
 信孝は羽柴筑前に対し、かつてこの地で主を討った長田忠到のように、報いが訪れるのを待つがいいという意を込めてこの歌を詠んだという。

 内海野間は武家にとって不吉な土地ではあるが、美浜と聞けば義朝、信孝の無念を思い起こさずにはいられない。

 南セントレア市と地名がかわることで、歴史的背景も薄れてしまうような気がして残念である。
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by tohfucat | 2005-01-29 15:30 | 地名